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第1回環境エネルギー委員会「2050年カーボンニュートラルを見据えて」WEB講演会開催

投稿日:2021.5.20

 令和3年5月20日(木)環境エネルギー委員会は一般財団法人 電力中央研究所 社会経済研究所 上席研究員博士(地球環境学)朝野 賢司 氏を講師としてお招きし、「2050年カーボンニュートラルを見据えて」と題してWEB講演会を開催し、38名が参加した。
 講演はカーボンニュートラルの概要説明からはじまり、温室効果ガスの定義や、排出をゼロにすることの意味、なぜ2050年までとなっているかや、カーボンニュートラルを目指す目的などについて、北海道苫小牧市のCCS※実証実験の事例を交えながら話した。続いて日本における再生可能エネルギー導入の現状について、固定価格買取制度(FIT)の目的や構造を解説した。日本の再エネ比率の推移が2011年の9%から現状20%に増加していることに触れたうえで、急速なコストダウンが見込まれる太陽光・風力の主力電源化に向けた取組や課題について述べた。そのなかで問題なのは、賦課金の高騰、再エネコストが世界最高水準であること、再エネ施設の建設に伴う土地利用問題の3点だと話した。その後、2050年までに再エネ導入はどこまで可能か?とのテーマで、洋上風力発電所の考え方について海外の事例を交えながら解説した。最後にカーボンニュートラルに向けて、何を優先的に取り組むべきかについて説明した。現在、温室効果ガスの排出は電力以外が6割を占めているが、そこを削減するカギはエンドユース機器の低炭素化であり、それを阻む「ロックイン問題」(建物の制約により最新のエネルギー機器の導入ができなくなる)の解決が重要であると述べた。日本ではCO2排出の半分以下に過ぎない電力構成ばかりに議論が偏りがちだが、エネルギー全体の低炭素化のためには省エネ(高効率化)を進めるとともに、低炭素となるエンドユース機器の選択を促す政策が不可欠と述べたうえで、欧米での取り組みや英の建物の低炭素化などについて説明して講演を終えた。
 参加者からは「EOR※が普及すれば石油を効率的に掘削できるうえにCO2を地中に埋蔵できるメリットがある。但しコストがネックである。先生からみたEOR普及のカギを教えてほしい」「菅首相が2030年に46%削減を掲げたが、何を中心に取り組むべきか、企業はどのように取り組みを進めるべきか」など質問があり、朝野氏が丁寧に回答した。カーボンニュートラルにむけた取り組みを学ぶ、非常に有意義な講演会となった。

※CCS「Carbon dioxide Capture and Storage」の略、「二酸化炭素回収・貯留」技術。
※EOR「Enhanced Oil Recovery」の略「原油増進回収法」(炭酸ガスを油層内に圧入し原油を効率的に回収するためするための手法。炭酸ガスの大気中への排出抑制、ひいては地球温暖化防止にも寄与する技術として注目されている